イチローの祝杯に使われた日本酒「酒一筋」の魅力とは!?
2016/03/12
2015年8月15日、米大リーグの「マーリンズ」に所属するイチロー外野手が日米通算4193安打とし、「球聖」タイ・カッブ(故人、タイガースなど)が持つ大リーグ歴代2位の4191安打を日米通算で超えました。
日米通算の記録ではありますが、敵地カージナルスのファンは大きな拍手で偉業を祝福し、イチローはその歓声にヘルメットを取って応えました。
するとファンは総立ちになり、その記録の偉大さを物語っていました。
そんな偉業を祝福しようとチームメートのケーシー・マギー(元楽天でヤンキースでのチームメート)が試合後、日本酒をロッカールームに持ち込み、チームメートと共に乾杯をするという粋な演出を行いました。
イチロー選手は日米通算であることを謙虚に捉えながらも、日本での実績まで認められていることに素直に喜んだといいます。
そのマギー選手が準備した日本酒は「酒一筋」という銘柄で何とも「野球一筋」のイチロー選手に近いものを感じる日本酒です。
この「酒一筋」はその名に恥じぬよう「日本酒界の職人」によって造られた銘酒であることをご存じでしょうか!?
「日本酒界の職人」によって造られる「酒一筋」
岡山県赤磐市西軽部の利守酒造で「酒一筋」は造られています。
利守酒造の4代目蔵主、利守忠義は他の大きな蔵では作っていない、本物の、何の混りものもない酒を造りたいという思いを胸に酒造りに取り組みます。
そこで目に漬けたのが、まぼろしの米と言われた「軽部産・雄町米」での酒造りです。
まぼろしの米「軽部産・雄町米」
日本酒の原料は米と水です。つまり、日本酒の味は米によって決まると言っても過言はありません。
その原料米に選んだまぼろしの「雄町米(おまちまい)」は、大粒で心白が大きく軟質で麹のはぜこみがたいへん良く日本酒造りに適したお米です。
日本酒造りに適した米でありながら、まぼろしの米となってしまったのは、その栽培の難しさにあります。
「雄町米(おまちまい)」は稲丈が1.8mにまでのぼりる為強風に弱く、機械での収穫作業に不向きです。また病害虫にも弱いため稲穂に育つまでの手間暇もかかります。
こういった理由でいつしかまぼろしの米となってしまった「雄町米(おまちまい)」ですが、利守忠義の熱い思いに説得され、再び「酒一筋」の為の「雄町米(おまちまい)」作りがスタートしたといいます。
近年酒米では「山田錦」という品種が有名ですが、「雄町米(おまちまい)」はその祖先にあたる品種となります。
備前焼大甕での仕込み
15~16世紀頃までは、日本酒は「甕」で造られていました。「雄町米(おまちまい)」を復活させた利守忠義の次の思いは、地元の土で造られた大甕を使った日本酒造りでした。
利守忠義の熱い思いに賛同した備前焼の名匠・森陶岳氏は、容量500リットルにも及ぶ大甕を酒造用に造りあげます。
その「大甕」での日本酒造りをスタートしたのが、平成7年のことでした。「大甕」での仕込みは数々の困難が待ち受けていました。
上薬を塗らない備前焼には細かい穴が空いているので、少しずつ酒が漏れてきたり、洗浄作業が難しかったりとなかなか思うようには進みません。
杜氏「田村豊和」の奔走
利守酒造は、酒造りの杜氏「田村豊和」を招き入れました。
「酒造りは毎年1年生」と心がける「田村豊和」は、そのまぼろしの米「雄町米(おまちまい)」と地元の土で造られた「大甕」での酒造りを大成させた人物です。
利守酒造で醸し出す「酒一筋」は機械では造られない芸術品と言っても良いと胸を張ります。
このように造られた日本酒ですので、「飲むというよりは噛みしめて欲しい」というのが杜氏「田村豊和」の願いです。
海を越えてアメリカイチローの元へ
日本とアメリカでストイックに野球と向き合い、4193本のヒットを量産したイチロー選手。
そして原料や器など本物の日本酒造りと向き合い、造られた日本酒「酒一筋」。
何かと共通点が多い両者ですが、届けたマギー選手は、この繋がりを知ってか知らずかはわかりません。
シーズン中はアルコールは飲まないというイチロー選手は、この職人によって造られた「酒一筋」の風味を記録の喜びと共に噛みしめることができたのではないでしょうか!?
今回ご紹介した「酒一筋」はこちらです。
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