「薩摩の薩摩」が生み出す芋焼酎「不二才」と「白霧島」を比較!
2016/03/10
「不二才」と書いて「ぶにせ」と呼ぶ本格芋焼酎があります。
「不二才」は、鹿児島県南九州市の「佐多宗二商店」で造られている本格芋焼酎です。
「佐多宗二商店」では、「不二才」の他にも「晴耕雨読」という本格芋焼酎が知られていますが、今回は何とも魅惑的な名称の「不二才」を飲んでみたいと思います。
「不二才」との出会い
とある酒屋さんを訪れた時、私の目に留まった目立たない真黒なラベルを伴った「不二才」。
普通の本格芋焼酎のラベルであれば前面的に「銘柄」を押し出し、その存在をアピールするきらびやかな色を使った物が一般的ですが、「不二才」の場合は全く正反対。
ややもすれば、その存在に気が付かない人も居るのではないか!?と思われるほど、静かに棚に並んでいます。
あまりの違和感に思わず手に取ると、ラベルには「薩摩の薩摩」と堂々と書かれています。その焼酎の風味には相当な自信があるのでしょうか!?
そして、その隣に書かれている文章を読んで私は、この本格芋焼酎を購入する決意をするのでした。
ところで「不二才」とはいったいどのような意味を持っているのでしょうか!?
「ぶにせ」は「不細工な男」という意味で反対に「かっこよい男」は「よかにせ」と言うそうです。
真黒な目立たないラベルに謎の文章、そして「不細工な男」とネガティブだらけの芋焼酎は一体どのような風味を兼ね備えているのでしょうか!?
「不二才」の仕様
まず驚いたのが、この真黒なラベルの割に白麹製の芋焼酎だということです。
その他目立った特徴はありませんが、「薩摩の薩摩」だけあって、二次原料に「南薩摩産コガネセンガン」を使用しています。
酒母造り、貯蔵には甕を用いており、手造り度の高い芋焼酎です。
そういった理由もあって、4合瓶で¥1,367の金額となっています。
官能評価
飲み方
「不二才」はアルコール度数25度ですので、25度製白霧島と比較します。飲み方はお馴染みのロックです。
香り
「不二才」の栓を開けて香りを堪能します。薩摩焼酎特有の強いサツマイモの香りではなく、穏やかな香りが漂ってきます。
嗅ぎ続けていると、何かウイスキーのような香りも続いて訪れ、とても「不細工な男」の香りではありません。
同じ白麹製の「白霧島」の特徴でもある華やかな香りは全く感じられませんでした。
味わい
「不二才」を口に含み堪能します。
サツマイモの風味が口の中に広がり、ふくよかさが存分に感じられます。
しばらく飲み続けていると、「あー美味いわー。」と思わず口にしました。飲んだ瞬間「これは!美味い!」というわけではないのですが、飲み続けていると「その風味にはまっていく」といった美味さです。
甘辛度
「不二才」は程よい甘さが感じられる芋焼酎です。
甘みの奥に繊細な風味が加わっていて、これがウイスキーのような香りの正体ではないか!?と感じました。
繊細な風味は恐らく「濾過工程」において、旨み成分をあまり逃がさない手法を取っているのではないかと思います。
「白霧島」は甘い芋焼酎ですが、一方で薄い印象が残ります。「不二才」は濃厚な風味でそれもまた大きく違いがあります。
後切れ
「不二才」を飲み切った後には、しっかりとサツマイモの残味が残ります。やはり「薩摩の薩摩」の芋焼酎だけあって、サツマイモの存在感は最後まで感じられます。
しかしながら辛い芋焼酎ではない分、後切れも程よく嫌な残り方ではありません。
芋らしさ
前述の通りですが、「白霧島」より「不二才」の方が遥かにサツマイモらしさが残る芋焼酎です。
「薩摩焼酎とはこういうものだ!」と言わんばかりの存在感が感じられます。
文章の所以はこういうことなのだと思います。
まとめ
「こん焼酎(そつ)は圏外人(けんがいびと)呑むべからず」
「不二才」のラベルに書かれた文章です。正にその名の通りの文章で、「薩摩焼酎」らしい芋焼酎です。
「けんがいじん」=「芋焼酎に慣れていない人」を意味するのではないかと思います。
それだけサツマイモの風味が濃厚で、少し癖のある芋焼酎だからです。
私としては「不二才」が意味する不細工な男というよりは、「不器用な男」といったイメージを受ける芋焼酎でした。
「不二才」はネーミング・ラベルにおいて地味で目立たない存在ですが、飲んでみたら「とても深みのある繊細な味わい」をしています。
そこにとても「不器用さ」を感じる芋焼酎です。
「圏外人」で無い方はぜひ一度試してみてください!!
今回飲み比べに使用した芋焼酎「不二才」はこちらです。
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