焼酎造りに見る麹の役割
2015/08/01
前回は「白霧島」「黒霧島」の米麹造りの話でした。米麹を造る理由はどういったところにあるのでしょうか?
「白霧島」や「黒霧島」等の芋焼酎を造る際に必ず出てくるのが、発酵という工程です。
米や芋に含まれるデンプンから、発酵という工程によってアルコールを造り出さなければなりません。
デンプン
分子式(C6H10O5)n の炭水化物(多糖類)で、多数のα-グルコース分子がグリコシド結合によって重合した天然高分子です。
それに対し「白霧島」や「黒霧島」の主成分となるアルコールは、エタノール分子式(C2H6O)です。
高分子のデンプンを分解し、分子を小さくしていくとエタノールが出来るという仕組みです。
しかしデンプンを簡単にアルコールまで分解することはできません。そこで必要になるのが、麹菌が米麹を生成していく過程で造り出す糖化酵素です。
麹菌によって生成される酵素は大きく3通りあります。
タンパク質分解酵素
焼酎の香気成分として得られるアミノ酸やペプチドを生成する酵素。
(酸性プロテアーゼ、酸性カルボキシペプチダーゼ等)
脂肪分解酵素
脂質を高級アルコールやエステルに分解する酵素。焼酎の味、香り成分として得られる。
(リパーゼ等)
糖化酵素
デンプンを糖に分解する酵素。後に出てくる酵母の栄養源となり、アルコール発酵において必要不可欠な酵素。
(α‐アミラーゼ、グルコアミラーゼ等)
麹菌が生成する糖化酵素によって、米が持つデンプンはブドウ糖に分解されます。これが米麹の大きな役割のひとつになります。
上の図は、糖化酵素であるαアミラーゼがデンプンに作用して、ブドウ糖などに分解している図式です。
上図のグルコアミラーゼ酵素は、アミラーゼが分解できないα1→4gグルコシド結合,α1→6グルコシド結合を分解しグルコースを生成する図式となります。
麹の特徴としてもうひとつ大きな特徴があります。それはクエン酸を生成することです。
「白霧島」の故郷は南九州で、夏場は特に高温になり腐敗や雑菌による汚染が心配になります。
そこで活躍するのがクエン酸です。クエン酸は静菌作用が強く、醪のpHを下げ雑菌汚染を防ぐ役割があります。
このように麹には大きく2つの役割があります。
・酵素の生成
・クエン酸の生成
麹なしに「白霧島」造りは成り立たないということです。
いかがでしたか!?「白霧島」の麹の役割ご理解いただけたでしょうか?
白麹の白霧島。黒麹の黒霧島。どうして、麹の違いで味に変化が出るのでしょうか!?
「白霧島の白麹」、「黒霧島の黒麹」味わいの違いは麹の仕業
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