芋焼酎業界のスタンダードを覆した黒霧島の存在
2015/06/26
芋焼酎の出荷量を競い合う鹿児島県と宮崎県。歴史を切り開いたのは、鹿児島県の薩摩焼酎ブランドでした。
薩摩焼酎ブランドを定着させたのは、薩摩酒造が出荷する薩摩白波。
薩摩白波は1970年の第一次焼酎ブームから20年以上にわたり、芋焼酎のスタンダードとして全国で嗜まれ、コアなファンを作り続けてきました。ここまでが前回のお話です。
黒霧島の登場
時は進み1998年、霧島酒造が黒霧島を世に送り出します。
黒霧島は「芋焼酎は芋臭いもの」という常識を覆し、「全国の人に飲みやすい!女性も飲める芋焼酎を」をコンセプトに造り出されました。
霧島酒造は新たな芋焼酎ファンの獲得に乗り出したのです。既存の芋焼酎ファンはたいてい好きな銘柄があります。
新しい芋焼酎が出たからと言って、それじゃあそっちを飲んでみよう!とはなかなかなりません。一方で、好きな銘柄への愛着こそが薩摩白波の強みだったとも言えます。
「黒霧島」は発売から1年後徐々に売り上げが上昇し、県内から九州へと展開していきました。
九州の最大都市福岡市では、駅で「黒霧島」のサンプルを配るなど、地道な営業を行い続けファンを増やしていきました。
次第に女性や芋焼酎初心者からも支援を受けるようになりました。
黒霧島の飛躍
そんな中、2002年に爆発的なトリガーを引きあてます。人気お笑い芸人ナインティーナインの矢部浩之さんが、民法番組で「黒霧島がうまい!」と大絶賛しました。
そこから全国民に黒霧島の存在が知れ渡り、一気に売り上げも加速していきました。
現在では全国各地のコンビニや居酒屋など、何処にいっても黒霧島が飲めるといいます。
黒霧島は芋臭さが押えられているので食中酒としても評価が高く、これは黒霧島のCMにも象徴されています。
「九州の味とともに、トロッとキリッと黒霧島」のフレーズと共にCMの終わりに初めて黒霧島が登場します。
これはあくまで料理があっての黒霧島だというコンセプトの表れだと思います。
このように、芋らしい芋焼酎から脱却を図った霧島酒造の黒霧島が全国の芋焼酎ファンを増やすきっかけとなりました。
2002年以降、霧島酒造は売上を右肩上がりに伸ばしていき、薩摩白波を颯爽と抜き去っていったのです。
そして2012年には本格焼酎業界のトップ三和酒類(いいいちこの製造元)も抜き去り、本格焼酎業界のトップになりました。
次回、黒霧島のヒットを紐解く。そしてこのままじゃ終われない薩摩焼酎。
ブログランキングに参加中。応援をお願いします!!
焼酎 ブログランキングへ
スポンサードリング
スポンサードリング
関連記事
-
-
第3回目の「茜霧島」販売開始!市場での販売動向を調査!!
2015年6月17日より「茜霧島」出荷販売が開始されました。 今回は第2回までと …
-
-
口永良部島の噴火で垣間見える地元の絆!私たちにも出来る意外な復興支援方法とは!?
2015年5月29日に起きた口永良部島の噴火が思わぬところに影響を及ぼしています …
-
-
乙類(本格)焼酎と甲乙混和焼酎の違い
「白霧島」、「黒霧島」といった芋焼酎、「いいちこ」、「二階堂」といった麦焼酎、「 …
-
-
2015年秋販売の「赤霧島」かどうかを調べる方法とは!?
2015年秋の「赤霧島」が販売されて、赤霧島ファンの皆様の手元にも「赤霧島」が届 …
-
-
新旧プレミア対決 赤霧島と茜霧島を徹底比較~仕様編~
「白霧島」や「黒霧島」は私をはじめたくさんの方の晩酌の友になっているのと思います …
-
-
「焼き芋焼酎」と「芋焼酎」の違い~風味編~
「焼き芋焼酎」と「芋焼酎」の違い~製法編~の記事で述べましたように、「焼き芋焼酎 …
-
-
「森伊蔵」定価購入にチャレンジ!
以前、私が「プレミア焼酎」をオススメできない理由の記事でプレミア焼酎を高値で購入 …
-
-
2014年清酒出荷量に見る新たな兆し!2015年更なる飛躍をする方法とは!?
國酒を担う「日本酒」と「焼酎」。今回は、「日本酒(清酒)」の出荷量を元に考察しま …
-
-
「甕雫」を代表に焼酎蔵が集まる町日南市
宮崎自動車道を最終地点まで走り抜け、更に南下を続けると海沿いの道が続きます。晴れ …
-
-
本格焼酎業界のNo.1県を決める戦い~白霧島の影響は~
白霧島の発売日の前日2014年1月20日、奇しくもこのようなニュースが流れました …
- PREV
- 薩摩酒造が導き出した芋焼酎業界の飛躍
- NEXT
- 白霧島と同時発売の茜霧島を徹底検証