「獺祭」と「黒霧島」に共通する4つのキーワード~後編~
2015/07/22
「獺祭」と「黒霧島」、日本を代表する國酒でもある両銘柄の大ヒットの裏には一体どのような取り組みがなされていたのでしょうか!?
今回はその後編です。前編の記事は「獺祭」と「黒霧島」に共通する4つのキーワード~前編~です。
後編では残りの2つのキーワードに迫るとともに「獺祭」と「黒霧島」がもたらした利益以上の効果に迫っていきたいと思います。
数%へのこだわり
「獺祭」は「2割3分」が代名詞です。
これは精米した山田錦を「77%削って、23%の部分だけ酒造りに使う。」ということです。
当時米を25%まで削ることを目標としていた同社ですが、24%まで削って造られた酒が在ることを知って23%まで削るという飽くなき挑戦を続けました。
そして造られた大吟醸酒こそが「獺祭 磨き二割三分」です。
一方「黒霧島」は4工場から製造される「黒霧島」の原酒をブレンドして品質維持に努めています。いくら同じ水、同じ製法を使っても「蔵癖」と呼ばれる風味の異なる原酒が生まれると言います。
この微妙な風味の違いがある「黒霧島」原酒は、ブレンダーの利き酒によって数%までブレンド比率を決定します。
これによって、いつ何処で飲んでも美味しい同じ風味の「黒霧島」が出来上がるのです。
両社共に過程は違えど「数%へのこだわりを持って造られたお酒」であるということが3つ目のキーワードです。
地方企業と地域密着
「獺祭」は山口県岩国市の山奥の小さな蔵「旭酒造」で造られています。典型的な過疎地方で知られ、隣の小学校は全校生徒9名しか在籍していません。
「黒霧島」は宮崎県都城市の霧島酒造で造られています。山奥とまでは言いませんが、地方に本社を置く会社です。
両社に共通する点として「ふるさと納税」への参加です。
山口県岩国市への10万円以上の寄付で「獺祭 磨きその先へ」がふるさと特産品として貰えます。
宮崎県都城市への寄付では「肉と焼酎の町」と掲げる同市のコンセプトを元に、「黒霧島」のみならず「赤霧島」「茜霧島」といったふるさと特産品が貰えるコースが多数あります。
なんと50万円以上の寄付で「黒霧島1年分」が貰えるといったユニークな特産品でも話題になりました。
両社共に地方行政と連携して「地方創生」に尽力しており、「地域密着」をより大切に取り組んでいる会社でもあります。
「地方企業」で「地域密着」というのが4つ目のキーワードになります。
4つのキーワードを踏まえて
「獺祭」「黒霧島」共に日本を代表する國酒となりました。
共通する4つのキーワードに今後の「酒類業界の発展」と「地方創生」のヒントが隠されているように感じます。
酒類業界の発展
「本当に美味いお酒を提供する為に飽くなき探求を試みて造ること。」これこそが、今後の酒類業界の発展に欠かせないことではないでしょうか!?
お酒を飲む人口が年々減少する中で、消費者は「酔うお酒」から「味わうお酒」へと志向が変化してきております。
こだわる過程は違えども「数%のこだわり」を持ったお酒造りに取り組むことで、新たなヒット商品が生まれるのではないかと信じております。
地方創生
両社とも「元気がある地方」を目指して取り組んでいる姿勢が見て取れます。地方の行政等と連携して、地方を挙げて商品を盛り上げています。
またその商品がヒットすることによって外貨が地方にもたらせれます。
得られた外貨を元に、その土地をアピールしたり雇用を生んだりと「地方創生」に多大な影響を生み出すことができます。
大型工場の建設が行われれば、地方の建設会社やその他の産業にも仕事を生み出すことができます。
「獺祭」「黒霧島」のような大ヒット商品が地方に生まれることによって「地方が元気になる」のです。
「獺祭」「黒霧島」に次ぐ新たな大ヒット商品が酒類業界に登場することを心より願っております。
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